公益社団法人 半田青年会議所

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理事長所信

第63代理事長 畑中 剛樹

基本理念

挑戦が生む、笑顔あふれる地域社会の創造

スローガン

Challenge for SMILE
~誰かの笑顔のために、共に挑戦しよう~

基本方針

  • 地域の未来を支える次世代人材の育成
  • 知多半島を守るカーボンニュートラルの推進
  • 次代の担い手を育てる主権者意識の向上
  • 戦略的広報によるJCブランドの確立
  • 志を同じくする仲間の拡大
  • 明確な目的と責任を兼ね備えたJAYCEEの育成
  • 盤石な基盤と挑戦を支える組織運営

理事長所信

はじめに

私は学習塾で毎年受験生を送り出しており、合格の報告を受ける瞬間は、私にとって何よりも笑顔になれるひとときです。それは、ただ「合格」という結果が嬉しいからではなく、勉強が思うように進まず悩んでいた姿、模試の結果に落ち込んで涙を流した姿、それでも最後まで諦めずに机に向かい続けた姿、そうした日々の歩みを私はずっとそばで見てきたからこそ、「よくここまでやり切った」と胸が熱くなり、自然と笑顔がこぼれるのです。
もちろん、第一志望に届かない生徒もいます。しかし、必死に努力を重ねた末に迎えた結果には「やりきった」という確かな実感が残り、それが心からの笑顔につながることで、たとえその瞬間は悔しさでいっぱいであっても、新しい環境で成長し、笑顔で挨拶に来てくれる生徒を私は何度も見てきました。そういった生徒たちの「心からの笑顔」に触れることは、私自身に対しても大きな力になっているからこそ、自分もまた「心からの笑顔」になれるように挑戦を続けてきました。
挑戦は笑顔を生み、その笑顔は次の挑戦を生み出す力となります。笑顔とは、挑戦を呼び起こすエネルギーであり、ひたむきに目標に進む姿は周りの心を動かし、努力の先の「心からの笑顔」は周りに笑顔とエネルギーをもたらします。
これは、青年会議所における自己研鑽の姿勢と重なります。自らを高める挑戦はやがて仲間や地域に共感を生み、笑顔となって広がり、新たな挑戦を生み出す原動力になります。
青年会議所の目指す「明るい豊かな社会」とは、社会課題を解決し続け、持続可能な地域を創ることです。青年会議所メンバーの挑戦と笑顔が地域に連鎖し、「まちのために自分も何か行動したい」と挑戦する人が増えていく。このような状態こそが「明るい豊かな社会」ではないでしょうか。
挑戦を重ね、自らを磨き、その先に生まれる笑顔というエネルギーを地域へと広げていく一年にしていきましょう。

地域の未来を支える次世代人材の育成

青少年事業には「若者の声を社会に届ける役割」と「次代を担う人材を育成する役割」があります。若者が抱える問題や可能性を社会に訴えかけること、そして若者に発展と成長の機会を提供して未来を切り拓く力を育むことは、青年会議所に課せられた重要な役割であり、長く受け継がれてきた根幹的な運動です。私たちの暮らす知多半島は、豊かな自然と多様な産業が共存する地域ですが、その未来は決して保証されたものではありません。行政による環境施策は進んでおりますが、地域の人々が主体的に学び、行動する機会は十分ではないのが現状です。子どもたちは環境問題を「自分ごと」として捉え、学び行動したいという強い意欲を持っていますが、その思いを大人社会が十分に受け止めきれておらず、行動の変化へと結びつけられていません。この差を埋めるためには、子どもたちが一歩を踏み出し、その姿を通じて大人をも動かすことが必要です。子どもたちの純粋な行動は、地域に変革をもたらし、社会を新たな方向へと導く力となります。次代を担う子どもたちと共に、自然と産業が調和する地域、そして地球全体の明るい未来を築いてまいりましょう。

知多半島を守るカーボンニュートラルの推進

私たちはこれまで、地域の未来を守るために社会課題の解決へ挑んできました。2020年度のコロナ禍において「コロナ18」を策定し、地域住民がすぐに取り組める18の目標を示しました。この経験は、課題解決には「誰にでもわかりやすい行動指針」が不可欠であることを教えてくれました。いま、地球温暖化や気候変動の影響は深刻さを増し、知多半島の誇りである海苔の養殖にはすでに影響が見られ、今後さらに進行すれば、温度管理が重要な醸造文化にも影響を及ぼすことが懸念されています。もし環境変化がさらに進めば、地域の食卓を彩る海産物や食文化そのものに大きな打撃を与えかねません。特に、日本のCO₂排出量の約14%は家庭から生じており、家庭の小さな工夫と行動の積み重ねこそが未来を左右する力を持っています。しかし現実には、多くの家庭で温暖化は「知識」として理解されていても、自分の生活に直結するものとして認識されず、行動につながっていません。だからこそ私たちは、家庭から始められる具体的でわかりやすい行動指針を示し、地域に実践の連鎖を広げることで、知多半島から未来を守る挑戦を力強く推進していきましょう。

次代の担い手を育てる主権者意識の向上

主権者教育の本質は、投票率の向上ではなく、地域や社会の課題を自分ごととして捉え、主体的に未来を切り拓く力を育むことにあります。現代の高校教育においては、主権者教育が広く実施され、模擬選挙や制度理解の授業を通じて若者が社会に関心をもつきっかけがつくられていますが、大学受験に向けた学習が優先される教育現場では、地域課題と結びつけた探究的な取り組みや、実践的な学びの機会は十分とはいえません。結果として、多くの若者が「社会を変える力は自分にある」という実感を得られないまま巣立っていくのが現状です。このままでは地域の将来を担う人材を十分に育てられません。地域課題を自分ごととして考え、議論し、解決策を見出す経験は、若者に「自分の意見や行動が社会に役立つ」という手応えを提供し、その実感が自己肯定感を高め、さらに主体性を育むとともに、地域に新しい活力をもたらします。だからこそ、青年会議所が行政や学校と連携し、若者が地域課題を議論し、意見を発信できる場を提供してまいります。地域への関心を高める人を育み、知多半島の未来をより豊かにしていきましょう。

戦略的広報によるJCブランドの確立

半田青年会議所は、地域課題の解決を目的に様々な運動を展開してまいりましたが、近年の対外例会の参加者数の推移を見ると、その価値が十分に地域に浸透しているとは言い難い現状があります。社会課題を解決し持続可能な地域を創るためには、地域の共感と協力を得ることが不可欠です。いかに優れた事業であろうとも、「何をするか」に加えて「誰に、どのように届けるか」という視点がなければ、真の意味を持ち得ないのです。すなわち、事業そのものの質と同時に、それを地域にどう認識していただくかというブランド価値の向上が不可欠です。ブランド価値とは、単なる名称やロゴにとどまるものではなく、活動そのものの理念が地域にどのように受け止められるかに他なりません。つまり、半田青年会議所が地域にとってどのような意味を持ち、どのような約束を果たす団体であるかという印象そのものがブランド価値なのです。しかし現状の広報は年度ごとに方針が変わり、一貫性を欠いています。そのため、長期的に「半田青年会議所らしさ」を積み上げ、地域に共通のイメージとして浸透させることができていません。この課題を克服するために専門的な知見を取り入れ、「広報ブランディング・グランドプラン」を策定し、意味と約束を明確にし、それを中期的視野に基づく広報戦略として体系化いたします。日々の発信と事業を通じて一貫して体現することで、地域の人々が共感し、誇りを持てるブランドを築いていきましょう。

志を同じくする仲間の拡大

半田青年会議所の力は、地域を想い行動する一人ひとりの結集にこそ宿ります。描く未来像を実現するためには、より大きな運動体へと成長し続けねばなりません。その原動力が、志を同じくする仲間の拡大です。拡大は単なる会員数の増加ではなく、より多くの青年に発展と成長の機会を提供し、持続可能な地域の創造に資するためのものです。新たな同志を迎え入れることで、組織に多様な視点や専門性が加わり、新たな挑戦と価値創造が可能となります。ゆえにまず我々自身が理念を誇りをもって語れる存在となり、活動の中で得た経験や感動を自らの言葉で伝えていきましょう。その真摯な姿勢は確実に広がりを生み、やがて同志を呼び寄せます。2026年度は全員が理念を体現し、積極的に出会いの場で共有することを拡大の軸としてまいります。志を同じくする仲間を迎え入れ、共に成長し、よりインパクトある運動を地域に届けていくために、全員で拡大活動に挑戦しましょう。

明確な目的と責任を兼ね備えたJAYCEEの育成

青年会議所は、自己を磨き、仲間と切磋琢磨しながら社会を動かす「運動」を体験できる貴重な場です。しかし現実には、入会間もないメンバーの中に、その意義や目的を十分に理解できず、活動が受け身になってしまう姿も見受けられます。その背景には「なぜJCに所属するのか」「自分はどんな役割を果たすべきか」を整理する学びの場が不足していることがあり、その結果、せっかくの環境を活かしきれずに終わってしまうのです。こうした状況が続けば、活動への主体性が弱まり、組織全体の力や会員拡大の推進力にも影響を及ぼしかねません。だからこそ私たちは、正会員一人ひとりが「所属の目的」と「果たすべき責任」を理解したうえで、誇りを持って活動に臨めるような学びの場を創出してまいります。挑戦の過程で得た気づきを行動に移すことができれば、家庭や職場との信頼関係は深まり、地域社会からの共感と支持も広がっていくでしょう。そして、自らの活動に誇りを抱き、その価値を自分の言葉で堂々と語れるメンバーの姿は、新たな仲間を惹きつける最も力強い原動力となり組織文化の真の礎となります。共に誇りある活動を重ね、未来へとつながる組織を築いていきましょう。

盤石な基盤と挑戦を支える組織運営

半田青年会議所の運動を力強く展開するには、まず「やるべきことをやる」という厳格な組織運営が不可欠です。そして一人ひとりが責任を果たす体制を確実に整えなければなりません。私たちの活動は正会員の会費に支えられており、これは信頼の証でもあります。その信頼に応えるために、議案の精度を高め、会議運営の透明性を確保し、情報管理を徹底するなど、運営基盤を盤石にすることが欠かせません。こうした基盤が整ってはじめて、誰もが安心して意見を述べ、挑戦できる「心理的安全性」のある組織が実現します。心理的安全性とは、発言や行動によって非難や拒絶を受ける不安なく、率直に意見や提案ができる状態を指します。Googleが数百のチームを対象に行った大規模調査「プロジェクト・アリストテレス」でも、これは高業績チームに共通する最も重要な要素であることが示されています。さらに心理的安全性が高い組織は、離職率が低く、学習や情報共有が活発となり、イノベーションが生まれやすいことも研究で明らかになっています。心理的安全性は決して「ぬるま湯の心地よさ」ではなく、責任ある行動と成果を前提とした上での安心感です。その環境が整って初めて、組織は真の力を発揮します。盤石な基盤の上に、挑戦を支える風土を築き上げていきましょう。

結びに

私自身、入会当初は地域や理念への理解も浅く、まちのことは考えもせず、目の前の利益ばかりを追い求めていた浅はかな人間でした。しかし、まちの未来を本気で語り合い、本気で行動する同世代の姿を目の当たりにし、「このままではいけない」と強く心を揺さぶられたのを今でも鮮明に覚えています。あの日から、私は青年会議所活動に本気で向き合い、挑戦を通じて自らを変えていこうと決意しました。その経験の中で学んだことは、社会の変化とともに課題が多様化する時代において、既存の枠にとらわれない柔軟さと挑戦を恐れない姿勢が欠かせないということです。そして、先輩諸兄姉が積み重ねてこられた信頼と知見の上に、時代に合わせた新しい発想を重ねることで、より地域に根ざした価値を生み出せるのだということです。挑戦から生まれる変化は、仲間を動かし、地域に笑顔を広げます。その笑顔が新たな挑戦を呼び起こし、未来を切り拓く力となっていきます。
私たちは、困難に直面するたびに成長し、仲間とともに歩むことでさらなる可能性を広げていけるはずです。その信念を胸に、地域のために、仲間のために、そして未来のために、全力で挑戦してまいります。