理事長所信
第50代理事長 大橋 将太
はじめに~相互扶助の精神~
たった円周約23センチの白球をピッチャーが魂を込め投球し、バッターがフルスイングで打ち返す。その打球を野手が球際まで諦めずに追い捕球し、 打者は全力でベースを駆け抜ける。一見単純に見える野球のひとコマではあるが、ひとつひとつのプレーには奥深いものが隠されていることを見逃してはならな い。どんなに素晴らしいプロ野球の一流選手でも、甲子園で活躍する高校球児のファインプレーも、まずは基本の徹底があってこそ成せる業であり、また、最後 まで諦めない直向きな姿勢がピンチを救い、思いもよらないチャンスに転嫁することもあります。どんな状況においてもバックアップする姿勢、常に全力疾走で 次の塁を狙う姿勢、勝った喜び以上に負けた悔しさから学ぶ教訓。日常生活の中でも、仕事においても、JC活動でも、あらゆる場面において相通ずるものがあ るのではないでしょうか。
これを現代社会に置き換えてみるとどうでしょうか。「誰かがやってくれるからいい」「自分には関係ない」などと他人任せや他人事感覚の風潮が日常に蔓延 している現状があります。ただ、都市移住化や核家族化と言われ続けている昨今、東日本大震災を契機に日本古来の伝統である「助け合いの精神」が見直され、 隣近所の付き合いや周りの人との関係性を大事にしたいという意識があらためて見直されているのも事実です。行政を中心とした公的機関もサービスの提供が充 実しており、「自助・共助・公助」の連携も日々確立されてきています。
希薄な関係のままでは時として簡単に綻びが出てしまいます。今後は、人と人との関係をより強固なものとして築き上げることが重要です。まずは自己を律し 「自助」の精神を高め、人と人とのコミュニケーションを拡充することで「共助」の精神を築き、行政を中心とした公的機関の「公助」も充実した結果、少しで も理想の地域社会に近づく。そんな相互間のより強固な関係が構築できるような運動を2013年度は展開してまいります。
会員拡大の必達~ひとりでも多くの仲間と共に~
「青年会議所活動において会員拡大は不可欠である」。入会当初、先輩からこの言葉を耳にしたとき理解ができませんでした。しかし、青年会議所活動 を続ける中でその言葉の意味が理解できるようになりました。「会員なくして青年会議所活動なし」。最盛期の半田青年会議所は150名以上の正会員で構成さ れていた時期もありました。現在では、社会状況の変化や青年会議所以外の諸団体活動の選択肢も増えるなど、時代の変遷の中、最盛期の約半数となり、会員数 減少が大きな問題でもあり、重要課題となっています。
会員数が多ければ見栄えがいいとか、強固な団体であると言わしめるのではなく、ひとりでも会員数が多ければ活動の可能性も拡がり、よりダイナミックな活 動にも繋がります。 2013年度には14名、2014年度には17名の大量卒業を迎えるとりわけ厳しい状況の中、将来の半田青年会議所の活動をより進 化させるためにも会員拡大は必須課題と言えます。会員ひとり一人がこの状況を危機的状況と捉え、団体の存続と活動の可能性を拡げるためにも会員拡大活動に は全力を注ぐ必要があります。
2013年度は「新たな半田JC創造」の第一歩として、『100名LOM必達』を目標として掲げさせていただきます。メンバー全員が会員拡大の意義を再 認識し、まずは身近な可能性ある青年に対し積極的に声を掛け、青年会議所活動の魅力を伝えることから始めてみましょう。半田青年会議所の未来を切り開くた めにも。
50年の歴史と伝統~新たなる半田JCを創造して~
1965年、半田青年会議所は先人の熱き情熱と並々ならぬ苦労の末、産声を挙げました。ここまで49年の歴史と伝統に裏打ちされるべく、多くの先 人がこの半田青年会議所を支え、発展させ築き上げていただきました。2014年度には、創立来半世紀を迎えます。われわれにはその歴史と伝統という誇りが あります。その基盤を生かし、この先の半世紀に向けてのあるべき姿を再確認し、明確な指針を掲げる必要があります。厳しい経済情勢の中、また国難と言える 未曾有の災害を経験した日本に住み続ける中、元気な愛知・知多半島から、元気な半田JCが未来の扉を開こうではないでしょうか。その扉を開くのはわれわれ の使命であると考えます。
地域に必要とされる半田JCの創造
まちや地域で半田青年会議所のイメージを聞いてみると、「何をしている団体なのか解らない」とわれわれの思い描く理想がまだまだ伝播できていない 現状があります。ただ、それ以上に「青年会議所だからできる」と期待の声が多くあることも事実です。振り返ってみてください。過去には数多くの誇れる事業 の開催や目的を達成すべく満足できる事業がありました。しかし、われわれの展開する運動の根幹は、まちが明るく豊かになることで目的が達成され、成果にも 繋がってくるのです。単に思いを一方的に伝播するだけではなく、われわれから率先して地域目線に立ち、求めているものは何かを掴み取り、個の創造力が結集 した半田JCの創造力を最大限に発揮して、継続的に地域に還元していこうではないでしょうか。その先には、「この地域に半田JCあり」と必ず繋がっていく はずです。
地域の偉人『新美南吉生誕100年』を迎え
全国の小学4年生の国語の教科書を開くと、半田の誇る童話作家新美南吉氏の「ごんぎつね」が載っています。言い換えると、全国の小学4年生は、必ず国語の授業で新美南吉氏の童話を読み学んでいるのです。
『新美南吉生誕100年』を迎える2013年。行政が中心となり地域では様々なイベントが開催されます。市民との協働で様々な催しも実施されます。で は、われわれにはどのような役割があり何をすべきでしょうか。新美南吉氏は半田で生まれ育ち、岩滑小学校、半田中学校、半田高校で学び、この地域に多くの 足跡と功績を残し、全国に認められた誇りでもあります。『新美南吉生誕100年』を絶好の機会と捉え、あらためてその偉人の素晴らしさを学び、伝え、地元 半田の誇る地域の偉人として、この地域に、全国に発信していきましょう。
知多半島の誇る自然豊かな恵みの継承
私は幼少時代、祖父と名鉄電車やバスに乗り美浜町や南知多町、日間賀島や篠島など、知多半島の南部に行った記憶が今でも強く印象に残っており思い出でもあります。
今でも当時と変わらない風景、自然豊かで風光明媚な知多半島。産業が発達しても残された自然は豊かな輝きを放っています。この自然豊かな恵みを次世代に も伝え、残し、守り続けることが、知多半島の財産を他地域にも誇ることができ、魅力を感じられる地域となることにも繋がるのです。産業が多様化する中で も、知多半島南部には農業・漁業など第一次産業と呼ばれる自然と共存共栄する姿が数多くあります。この財産は、われわれが守り続ける必要もあり、次世代に も守り続けていってもらいたい地域の誇りであると考えます。
会員個々の資質向上
青年会議所活動の根幹は「明るい豊かな社会の創造」であることは言うまでもありません。それを創り上げるのはひとり一人の正会員であることも言わ ずもがなです。個と個が結集して団体や組織が形成されます。青年会議所における個である正会員がレベルアップすることにより、結集された能力が団体や組織 としての力に変わり、ひいてはレベルの高い事業の構築にも結び付きます。では、正会員に必要な資質とは何でしょう。前述の野球におけるファインプレーの前 提には、基本の習得と徹底があります。直向きに取り組む姿勢、どんな状況においても仲間をバックアップする姿勢、常に全力疾走で次の塁を狙う姿勢。青年会 議所活動においてもそんな姿勢は必ず生きてきます。青年会議所には様々な「機会」が与えられています。その機会を十分に活用しつつ、まずは、正会員ひとり 一人がレベルアップを図るためにも、あらためて基本を学ぶ機会を体感し経験しましょう。
広報力向上からなる半田JCファンづくり
半田青年会議所に対する地域からの印象は、今後われわれが創り上げ事業展開することで確立します。良い事業を立案し企画しても、そこに参画してい ただける人がいなければ意味がありません。弱点と言われる広報力を高め、情報をよりタイムリーに発信し、発信する情報をリアルタイムに受信して賛同してい ただけるような仕組みを確立することが急務であると考えます。世の中には多くの情報媒体が蔓延っています。その媒体をいかに駆使してより正確に、よりリア リティーに伝えるのかはわれわれの創造力如何です。その創造力を最大限に発揮することで、最終的には半田青年会議所のファンを作り、ファンを増やすことに 繋がるのではないでしょうか。
組織運営の充実と財政基盤の強化
組織を運営するに際し、盤石な基盤を備えていることは不可欠な要素です。
われわれの活動は、正会員からの会費収入がほとんどの財源になっており、その財源をいかにして事業として形作り、地域に還元するのかは、形作る者だけで はなく、客観的に判断する組織体系も必要であると考えます。創造力からなる形を冷静にジャッジし、財政面を中心とした運営面の判断をより深い切り口であら ゆる角度からフィルターを掛けることで、われわれの創り上げる事業はさらにレベルアップしていくのです。
結びに~目的に向かって~
どの時代においても、歴史に裏打ちされたその時々の時代背景があります。
また、伝統を継承して重んじる日本社会の古き良き文化もあります。
歴史や伝統を決して否定することはありません。むしろ、その背景を理解しより拡充することが重要です。
今こそ、歴史と伝統からなる新たな半田JCが求められているのです。
それを創り上げるチャンスがあるのはわれわれの権利であり義務でもあります。
未来に見える光を期待するのではなく、未来の光を輝かせるのはわれわれひとり一人なのです。
希望溢れる新たなる未来に向かって前進しようではないでしょうか。