公益社団法人 半田青年会議所

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理事長所信

第62代理事長 今野 直紀

今野 直紀

基本理念

感動を生み、繋がり溢れる地域の醸成

スローガン

Civic Pride
~ 地域への誇りと愛着 ~

基本方針

  • 感動を生む運動の推進
  • 地域を牽引できる人材の輩出
  • 地域間の垣根を越え、安心して暮らせる地域へ
  • 健康的で自然豊かな地域へ
  • 主権者意識の向上
  • 主体的な人材の育成
  • 共感を生む組織へ
  • 国際の機会を活かした地域経済の活性化

理事長所信

はじめに

1949年戦後間もない頃「明るい豊かな社会の実現」を目指し、有志による東京青年会議所の設立から、日本の青年会議所運動は始まりました。そして16年後の1965年に全国で296番目の青年会議所として半田青年会議所は誕生しました。昨年60年の節目を迎え、中期戦略計画としてStrategic Planを発表し、2025年はStrategic Planを本格的に実装していく1年となります。
私は2015年に半田青年会議所へ入会し、本年で11年目を迎えます。入会当初、青年会議所活動は「人生において最高の学び舎」と表現されているのをよく耳にしましたが、現在ではあまり聞くことがなくなりました。これは社会情勢により、人と人との関わり合いが薄れ、充分な経験をすることができずに青年会議所活動を行っていることが起因していると考えています。

「問いを持った部族は生き残ったが、答えを持った部族は滅びた」/ネイティブアメリカンの諺

この言葉は青年会議所のアイデンティティそのものだと考えています。近年は風の時代と称されるように、私たちを取り巻く社会環境は急激に変化しており、地域社会が直面する課題も複雑化しています。過去の成功体験が答えになるとは限らず、その答えすらも見出すことが困難な時代です。それでも、私たちは複雑化する時代背景を嘆くのではなく、いつの時代も地域の未来を担う若者として、地域の課題に向き合い、その課題解決の手法を問い続け、常に時代の先を見据えて、事業・運動を地域へ展開すべく、試行錯誤を続ける必要があるのだと考えます。その結果、青年会議所活動で得た経験が自らを成長させ、自らの行動が地域の未来を豊かにすることに繋がるのです。この繋がりこそが、青年会議所が「学び舎」と称され、半世紀以上の歴史を紡ぐことができた理由なのだと思います。そして、この時代背景からなる必要性は単に私たちの組織のみに存在するのではなく、私たちの住み暮らす地域にも同様のことがいえると考えています。私たちは知多半島の「明るい豊かな社会の実現」のために、青年会議所という「学び舎」の環境を最大限に活かし、繋がり溢れる地域の醸成へ向けた行動をおこすことが必要なのです。

感動を生む運動の推進

青年会議所の強みは、仕組みを考え社会を変えることにあります。半田青年会議所は、これまでも地域の課題を捉え、事業・運動をおこなった結果、地域に根差した団体となり、事業の仕組みを残すことができたのです。そのためには、運動構築の基礎として人々の意識・行動を変えることが必要になります。学術的にも人の行動には感情が大きく作用することが証明されており、感情を動かすことは青年会議所運動の最大化に繋がります。そうであるなら、人はどのような時に感情が揺れ動くのでしょうか。ネガティブでバッドエンドなストーリーの映画を見れば、気持ちは沈み、その人の行動も前向きになることはないでしょう。では逆の場合はどうでしょうか。主人公が努力と研鑽を重ね、栄光を掴み取るというポジティブでハッピーエンドなストーリー。この映画を見た人の感情はどのように動くのでしょうか。努力や研鑽する過程は辛いかもしれませんが、その過程を経たからこそ、栄光を掴み取るという結果を得ることができる。映画を見た人の中には感動して涙を流し、主人公のように前向きな気持ちで行動するきっかけになるのではないでしょうか。地域に対して運動をおこなうという結果だけを追い求めるのではなく、その結果に繋がるストーリーを組み込んで地域課題に対する改善策を提供し、人々の心を動かし、感動を生む運動を推進して参りましょう。

地域を牽引できる人材の輩出

私たち青年会議所は「明るい豊かな社会の実現」に向けて、リーダーシップの開発と成長の機会を提供していく必要があります。そして、成長の機会を提供する1丁目1番地にあたるのが会員の拡大活動だと私は捉えています。なぜならば、青年会議所では所属する会員をはじめ、多くの方々と関わることでリーダーシップを育む機会を得ることができ、事業構築を通じて社会により良い変化をもたらす機会を得ることができるからです。そのため、青年会議所で得た学びを活かすことができ、成長した青年会議所の会員を地域へ輩出し続けることは組織の存続に寄与するだけでなく、青年会議所の学びを得た人間を地域へ増やすことができるため、「明るい豊かな社会の実現」に向け最大の近道といえ、これこそが青年会議所が長きに亘り取入れてきた仕組みであり、私たちの本質的な存在意義であると考えます。半田青年会議所は現在まで400名以上の卒業生を輩出しており、先輩方の足跡を辿れば卒業後も地域への貢献度の高さを証明することができます。しかし、昨今の会員の事業参加率低下という結果を鑑みても何のために青年会議所活動に取り組んでいるのかという目的意識が低下していることは明らかです。地域の求めるJAYCEEの姿は、リーダーシップの開発と成長の機会を享受した人材であるはずです。今後は所属する会員を拡大することに加え、明確な目的意識を育成する計画を構築し、地域を牽引できる人材を輩出して参りましょう。

地域間の垣根を越え、安心して暮らせる地域へ

知多半島は、海面に多くの地域が接しており、昨年に起きた能登半島地震のように自然災害へ対する十分な防災対策が求められる地域です。また、知多半島内にある複数の行政の主要機関が海岸付近にあるため、津波や地震によって交通網が断絶するとたちまち機能不全に陥る可能性があります。私たち半田青年会議所の活動エリアは、このような危険を抱える複数の行政区にまたがっているという特殊性があります。被災時に対策をしてくれる主要機関が機能不全に陥ればどうなるでしょうか。高齢者が多い地域では避難に困り、住民の方は戸惑いながら不安にかられるはずです。そのため、行政区の垣根を超えた地域間の連携を図り、相互の協力体制とこれらを円滑に運用する仕組みをつくることが必要なのです。地域住民へ安心を届け、災害にも強い地域へしていきましょう。

健康的で自然豊かな地域へ

人口増加や産業政策を背景にした高度経済成長における日本の豊かさの指標は、資本を増やすことを中心に考えられてきました。しかし、近年では人口減少や高齢化による社会課題や、産業政策のために犠牲にされてきた人為的な自然環境破壊に対する社会的評価の変化により、豊かさの指標が見直されるようになっています。そのため、人や物を際限なく使用できた時代から、人や物の持続可能性を保ちながら社会・経済を維持・発展させていく時代へと変化が求められているのです。ウェルビーイングの推進は、資本を増やすという豊かさの追求とは異なり、個人の幸福感を高めることに重きを置くだけでなく、社会全体の健康、経済、教育、そして持続可能な発展にも寄与します。また、人為的な自然環境破壊に対してカーボンニュートラルに代表されるグリーントランスフォーメーションを試みるなど、この知多半島が誇る豊かな自然環境も保持・改善していく必要があります。「明るい豊かな社会の実現」に向け、この2つの推進運動を地域へ普及させ、地域住民が誇れる健康的で自然豊かな地域社会を醸成していきましょう。

主権者意識をもった人材の育成

若者世代の主権者意識の低下は「シルバーデモクラシー」や「世代間の1票の格差」などの構造的問題が原因となっているという考えもありますが、若年層における当事者意識の低さが世代を重ねても劇的に回復しない現状からすれば、その原因は構造的な問題にあるのではなく、若い世代における当事者意識の低さにこそ原因があります。いつの時代も未来を担う若者こそが地域社会の改善を考え、行動するべきだと私は考えています。人材不足が指摘される昨今、地域の課題を自分事として捉えられる若者の絶対数の減少は、地域社会の持続可能性を危うくし、引いては知多半島の衰退に繋がります。そのため、地域の未来を牽引していく若者へ当事者意識の醸成をおこない、主権者意識を育む必要性があるのです。自分たちの声が世の中に届く、未来を自分たちで変える、という行動力をもった人材を育んでいきましょう。

主体的な人材の育成

「人は人によって磨かれる」という言葉があります。他者と関わり合うと必ず思い通りにいくということはなく、逆に思い通りにはいかないことのほうが多いかもしれません。ですが、他者と関わることで自他ともに存在を認め合い、個々を確立するきっかけになるのです。しかし、生活様式が多様化し、青少年が同世代で活動を行うことが減った現代では、他者と関わる機会が極端に減少しています。そして、家庭との関わりが強くなった結果、自ら考えて行動する機会も少なくなっています。いつの時代も主体性のある人材は地域に求められており、持続可能な地域社会を築くうえで重要です。成長過程の青少年において、率先して行動するしかないという環境下に敢えて身を投じることは、その成長を加速させます。知多半島には、地域を良くしよう、社会課題を解決しようと主体性をもって活動するNPO(特定非営利法人)をはじめとする様々な団体があり、所属する方々も主体性を持つ人材が豊富です。知多半島でこのような環境が醸成されたことは素晴らしい歴史であり、紡いでいくべき文化でもあります。このような環境を最大限活用しながら、主体性をもち、地域を牽引する未来の人材を増やしていきましょう。

共感を生む組織へ

今後も半田青年会議所を存続してくためには組織の運営は重要な柱です。私の考える理想の組織とは前提として所属する会員から共感を得られている状態の組織運営です。では、現在の半田青年会議所がおこなっている組織運営は会員から共感を得られるものといえるでしょうか。青年会議所の活動費は大部分を会員の年会費によって予算構築をしており、その貴重な財源を活用し、私たちは青年会議所活動をおこなっています。会員から共感を得られない組織運営をおこなっていれば会員からの不満も募り、組織の存続も難しくなるでしょう。そして同時に、内部評価が下がることは、外部への青年会議所の価値も下がると私は危惧しています。そのため、多様化がますます進む現代社会では、利便性も向上していることを視野に入れ、会員からも共感を得られる組織の運営を考える必要があるのです。本年は、社会の変化に対応しながら今一度、組織の運営方法を見直すタイミングであると考えます。内部からの共感を生み、外部からも賛同を得られる組織を目指し、半田青年会議所の価値を向上させましょう。

国際の機会を活かした地域経済の活性化

青年会議所の英名は「Junior Chamber International」であり、国際的な組織の一員として国際の機会が提供されています。そのため、130を超える国と国籍、民族、宗教、性別の枠を超えて青年会議所メンバーとして交流を図ることができます。現在、日本への来訪する外国人観光客も回復し、国としてもインバウンドを推進していますが、私達の住み暮らす知多半島の魅力が外国人にとってどのように認識され、評価されているのかは判然としません。そこで、私たちの強みである国際の機会を存分に活かし、外国人の価値観の尺度を理解して、地域のビジネスモデルを世界へ推進し、地域経済を活性化させましょう。

結びに

私は愛知県豊田市で生まれ育ち、この知多半島には縁も所縁もなく、この地へ仕事をするために引っ越し、地域に対しての思い入れすらもっていない自分勝手な人間でした。ですが、この半田青年会議所の活動を通じ、「私にも地域になにかできるかもしれない」と感じられるようになりました。私は半田青年会議所へ入会してから発展と成長の機会をいただき続け、青年会議所の活動こそが私の地域への想いを育み、様々な人々と繋いでくれたのです。恐らく、現存する会員の中にも、青年会議所への活動意欲も低く、かつての私と同じように地域に対しての想いもあまりもっていない方もいるでしょう。

災害が来た時も、どのように行動すれば良いのか明確になっており、安心して住むことができ、自然豊かで、人々が健康的に笑顔で暮らせている。そして、若者が主体的に行動し、自ら地域を良くしようとしている人材が溢れている地域社会。
これは私の理想です。
私は時代に負けず、未来へ繋ぐJayceeでありたい。

覚醒せよ同志たち、今、行動すれば未来が変わる

私は自身の経験から、青年会議所の活動に携わることが、人生をより豊かにしてくれることを知っています。共に地域へ感動のストーリーを届け、繋がり溢れる地域を醸成して参りましょう。